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会社の指針、基本理念を作ろう
-第11回-

3 経営戦略(方針)を検討する

6 経営計画を検討する

 1 経営指標の見方・考え方
    決算書、ココがポイント

 経営指針を成文化する目的は"良い会社をつくる"ということにあります。では、良い会社とはどのような会社のことを言うのでしょうか。いろいろな答えがあると思いますが、数字の上からも、良い会社とは? という見方をしておくことが大事だと思います。ここでは、その点についてお話します。

 決算書(P/L、B/S)の見方と経営指標
経営のトータルな数値の表現として、決算書があります。最初にこの決算書の見方について勉強しておく必要があると思います。概要だけ説明しておきましょう。


@ 決算書とは
 会社の決算書を開けると「損益計算書」と「貸借対照表」と「利益処分計算書」が入っています。
 損益計算書の略号をP/Lと言います。一番上の段には、"何年何月から何年何月"と、ある期間が設定されています。それに対して、貸借対照表の略号はB/S。その期間の末日の日付が入っているのが普通です。このように、損益計算書はある期間における数値を表わし、貸借対照表はある時点における数値を表わしているのです。
 「損益計算書」はある一定期間における損益の状況、つまり、利益が出たか、出なかったか、どのような理由で利益(損失)が出たのかを表わすためにつくられる計算書です。それに対して、「貸借対照表」は、ある時点において企業が保有している財産の状況を表わしています。


A 損益計算書
 それでは、損益計算書のほうから見ていきます。損益計算書は、以下の図のようなかたちになっています。ここでは、"いろいろな利益の表示"の仕方があるということを覚えておくことが大事だと思います。「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期利益」、「当期利益」、以上の五段階に分けて利益は表示します。
 まず、「売上総利益」というのは、商品そのものがもっている、"商品自体の力を表わす利益"と思えばいいでしょう。何の努力もしないで商品が売れて、回収もすぐできた、という場合における儲けです。
 次に、それを販売するために要する費用、または会社を経営していく上で当然にかかってくる管理の費用、これらを支払った残りとしての利益です。これを表示するのが「営業利益」ということになります。したがって、営業利益とは、直接的な販売活動から生ずる利益ですから、"営業力までを表示する"と思えばよろしいでしょう。
 そしてそのあと、営業外の収益、費用を加減することによって、「経常利益」という表示をします。営業外の収益、費用というのは、主として金融取引から生ずる収益と費用ということです。預金の受取利息と借金の支払利息、または手形の割引料などです。
 経営利益は、日常的な通常の活動による"企業の収益力"を表わします。したがって、経営計画では、経常利益が最も重要な数値と言えます。
その次に、特別な利益、損失を加減算して「税引前利益」を表示し、そしてそこから法人税や住民税を支払うことによって、「当期利益」を表示する。損益計算書はこのようにつくられています。

損益計算書(P/L) 91. 4/1〜92. 3/31
ア. 売上高 (IOO)      
イ. 売上原価   製造原価報告書(イ.の内訳)
ウ.
売上総利益
(%)   材料費  
      労務費  
エ. 販売費及び一般管理費   経費  
         
オ.
営業利益
(%)   前期たな卸高  
営業外収益   当期たな卸高  
営業外費用      
 
経常利益
(%)     売上原価  
特別利益  
特別損失   販売費及び一般管理費(エ.の内訳)
 
税引前当期利益
 
  法人税及び住民税  
 
当期利益
 
     

 目を転じて、財務分析表の「収益性」の欄を見ると、売上高総利益、営業利益、そして経営利益それぞれを、売上げを一〇〇として表わした率が収益性の指標としてとらえられていることがわかると思います。

財務分析および経営計画策定基礎データシート
区分 比率 算式
総合 @総資本経常利益率
(E×K)
経常利益 ×100
総資本
A成 長 性  (対前年度比)
今年度売上高 ×100
前年度売上高




B売上高総利益率
売上総利益 ×100
売上高
C売上高営業利益率
営業利益 ×100
売上高
D売上高金融比率
支払利息割引料 ×100
売上高
E売上高経常利益率
経常利益 ×100
売上高
F損益分岐点
固定費限界     
利益率




G流動比率
流動資産 ×100
流動負債
H固定比率
固定資産 ×100
自己資本
I固定長期適合率
固定資産 ×100
自己資本+固定負債
J自己資本比率
自己資本 ×100
総資本




K総資本回転率  売上高/総資本
L売掛金回転率  売上高/売掛金
M受取手形回転率  売上高/受取手形
N買掛金回転率  売上高/買掛金
O支払手形回転率  売上高/支払手形
P棚卸資産回転率  売上高/棚卸資産
   売上高      
 加工高(租利益)      
 経常利益      
人件費と要員  人件費      
 労働分配率      
 人員      
 1人当り人件費      
固定資産投資  件名と金額      
 減価償却費      
資  本   金  増資      
 資本金      

B 貸借対照表
 次に貸借対照表の見方をご紹介しておきます。
貸借対照表は、一定時点において保有している財産の状況を表わします。
貸借対照表の図解を見てください。まず、大きくは左に「資産の部」、そして右に「負債の部」と「資本の部」がそれぞれ並んでいます。そして、その左と右が合計金額で一致する。左と右がやじろべえのようにバランスするのでバランスシート、B/Sという略称を用います。
 ひとつずつ見ていきます。まず資産の部は、「流動資産」、「固定資産」、「繰延資産」と三区分にされているのが普通です。そして負債の部は、「流動負債」と「固定負債」に分けられています。
 ここで大事なのは、"流動"という言葉の意味です。流動というのは簡単に言うと、「一年基準」だと考えればいいでしょう。
 「流動資産」とは一年以内に現金化される資産を言い、「流動負債」は、一年以内に返済しなければならない借入金、負債を表わすのだと考えてください。
 それでは、固定という場合はどうか。「固定資産」は、そもそも現金化されることを目的としないで、使用することを目的とした資産です。建物、土地、機械、装置、備品などです。そして「固定負債」は、一年以上かけて返済すればよい負債、借入金です。
 次は「資本の部」を見てください。資本の部は、「資本金の部分」と「剰余金の部分」に分かれます。資本金の部分の金額は、増資や減資をしないかぎり、増減することはないのですが、剰余金の額は増えたり減ったりします。
 ここでは、剰余金の額を増やす方法は何か、ということがとても大事です。剰余金の額を増やすには、損益計算書の一番下、「当期利益」を出し続けることが必要なのです。剰余金の欄の合計額は、会社の設立以来現在までの当期利益の積み重ねであるということができます。
 剰余金の額を膨らませるのは大変なことです。売上げを上げ、費用を払い、そこから税金を払ってその残りを年々積み立てていくわけです。だから大変なのです。
 加えて、貸借対照表の右側のほうの見方を言っておきます。とくに、"資本"という側面から財産を見たときに、資本の部の合計金額、つまり資本金と剰余金の合計額を「自己資本」と呼ぶ場合があります。その場合は、負債の部の合計額を「他人資本」と呼びます。資本の部の金額は、株主が自分で調達した資本という意味で、負債の部は他人から調達した資本という意味です。それを全部合計した金額を「総資本」と呼びます。

貸借対照表(B/S)    92. 3/31










1.現金・預金





1.買掛(未払)金)


2.受取手形 2.支払手形
3.売掛金 3.短期借入金
4.商品 4. ・・・・
5.短期貸付金


1.長期借入金



1.土地 2.社債
2.建物 3.引当金
3.機械設備


資本金


4.営業権
・・・



1.創業費 剰余金
(1)前期繰越利益
(2)当期利益
2.開発費
3.新株発行費
(総資産)×××× (総資本)××××  
 
     
総資本経常利益率 =    
経常利益
総資本
   
         
           
   
経常利益
売上高
×
売上高
総資本
 
           
     
経常利益率
×
総資本回転率
           
(経営体質) =   (収益率) × (資本効率)



C 経営指標
財務分析表(前出)で、経営指標の見方を説明しましょう。まず、安全性の欄を見ると「流動比率」というのがあります。表の算式でわかるとおり、流動資産と流動負債のバランスを見る指標です。これは、一〇〇%以上でないと短期安全性の面から危ないということになる。できれば一二〇%以上あったほうがいいと言われています。つまり、一年以内に現金化できる資産のほうが一年以内に支払わなければならない借入金よりも多くなければ、短期安全性に欠けるということになります。
 次に、「固定長期適合率」に着目してください。これは"固定資産の額"と、"自己資本と固定負債の合計額"とのバランスを表わしています。自分で出した資本と、一年以内に返さなくてもいい長期的な借入金(安定資金)によって、固定資産を賄いきれているかどうかを見る指標です。いわば長期的な安全性を表わしているといえます。
 また、現時点における財産状態のなかで、いい体質の財務状況になっているかどうかを表わすひとつの指標として、「自己資本比率」があります。自己資本と他人資本とのバランスを見ることになります。これを改善していくためには、剰余金を増やしていく必要があるので、年々業績を上げて、税金を払いながら剰余金の額を増やしていくことが必要になります。
 次に、財務分析表の「資本効率性」の区分をみると、回転率という指標が出てきます。分子に売上高をとり、分母に貸借対照表の項目を入れると回転率になります。つまり、一定時点における貸借対照表項目の金額と、それ以前の一年間に獲得した売上高とのバランスを見ているわけです。とくに「総資本回転率」に着目してください。一定の総資本の中から、いったいどれぐらいの割合で売上高を獲得する体質があるか、どのぐらいの資本効率なのかということを見る指標です。


良い経営体質とは
 さて、いろいろな指標を見てきましたが、"総合的に企業の経営体質を表わす指標とは何か"と言うと、それは財務分析表の一番上にある、「総資本経常利益率」という数値です。これは一定の財産状況(総資本の状況)において、一年間に獲得することのできる経常利益の額を表わしています。つまり、自分の資本と他人から借りてきた資本を投入し、それを一年間利用して活用することによって生み出すことができる利益の額です。
 表にある算式の展開を見てください。「総資本経常利益率」は「経常利益率」と総資本回転率」の掛け算だということがわかります。
企業の経営体質は、「収益性」と「資本効率」の掛け算であるという見方もできます。ですから、経営体質を改善していくためには、一年間当たりに上げることのできる利益、つまり収益性の面からのアプローチが必要であると同時に、一定の資本からどのくらいの売上げを獲得することができるのかという、効率面の面からの追求も必要なのです。
 経営計画を定量的に組み立てていこうとする場合には、これらのさまざまな経営指標を、毎年改善していく方向で検討し、計画を立てる必要があります。

   

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